マナに抱かれて

渚は、仕事に情熱を持って打ち込んできた30才の独身OLだ。そんな彼女の信念は、会社には理解を得られずに挫折してしまう。恋人にも裏切られてしまった。そこで、自分を見限った全てを見返すためにハワイへ行き、「本物の」パレオの輸入を自分一人の力で成功させるのだ。コナ空港降り立った時、渚は転んでスーツを汚してしまうが、現地の少女から着替え用のTシャツをもらって驚く。そのＴシャツには自分が日本からもってきたパレオと同じ、真っ赤な夕陽と海辺に立つコテージ風の建物が描かれていたのだった。その建物はレストラン兼ホテルで、カイが経営している。カイのホテルの客に潤がいた。潤は父親の経営するリゾート開発会社から派遣されハワイ島の調査に来ていた。それは父から任された初仕事だったが、彼の報告書は却下され悩んでいるようだった。渚は、浜辺で空港で出会った少女・エミーと再会した。エミーは、渚の着ているパレオを見て驚く。そのパレオはエミーの母・ユミが作った「特別なもの」だった。ユミは息子を海で失って以来、パレオを作れなくなっていた。渚のパレオはユミの最後の作品だったのだ。こうして島で出会った様々な人たちや雄大な自然との触れ合いの中で、渚は次第に、「マナとともに生きる」ことの大切さに気づき始める。