2019年のフォーブス誌にて“世界で最も影響力のある女性”に選出、同年のタイム誌でも“今年の人”として紹介された、世界でもっとも有名な若き環境活動家グレタ・トゥーンベリの素顔に迫ったドキュメンタリー映画『グレタ ひとりぼっちの挑戦』より本編映像の一部が解禁された。
本作は、気候問題に関する専門的知識と揺るぎない覚悟を持ち、国連総長アントニオ・グテーレスやフランスのマクロン大統領、ローマ教皇など世界のリーダーらと議論を重ねていく様をもっとも身近なところで寄り添うように捉えていくと同時に、世界から注目を集める1年以上前から彼女に密着し、犬や馬と戯れるリラックスした姿のほか、アスペルガーの症状について冷静に自身で分析する姿、重圧と向き合い葛藤する姿、彼女の様々な行動を支える家族の姿も映し出すドキュメンタリー。

公開された映像は、グレタと母・マレーナが共にお菓子作りをしながら、グレタが摂食障害になった頃について涙ながらに話す場面。彼女は、8歳の頃に学校の授業で世界中の海に浮かぶプラスチックごみがテーマの映画を見たことをきっかけに塞ぎこむようになり、食事もまともにとれなくなった。のちに彼女はアスペルガー症候群、強迫性障害と診断された。マレーナは当時の様子について明かし、世界の若者に影響を与える姿にまで成長した彼女について「他人と一緒に食事できるようになるなんて、夢のようだ」と嬉しそうに涙を浮かべる。そんな母親を見て、笑顔を見せるグレタの姿は、“怒りのスピーチ”からは想像がつかない素顔であり、日々地球のために発信し続けるグレタにも、当然のように安らげる場とおだやかな日常が存在することに安心する映像だ。
■『グレタ ひとりぼっちの挑戦』本編映像
グロスマン監督も彼女について「アスペルガー症候群で率直に自分を表現するグレタのような人物が、この活動のアイコンになれるなんて本当に素晴らしいこと」と語り、2019年には本人もSNSで「アスペルガーは病気ではなく、1つの才能。アスペルガーではなかったら、こうして立ち上がることはなかっただろう」と語っている。グレタが学校を休んでストライキをすることに否定的な声や、娘をそそのかしたのではないかと非難されることも多いグレタの家族。しかし、本編を見れば何も食べられず話せなかった状態から驚くほど回復し、現在の状態に至るまで、彼女の希望を尊重し、どれほどサポートしてきたかがさらによく理解できるだろう。彼女が伝えたいことは何なのか。彼女は世界から注目される状況をどう感じたのか。私たちはこれからその思いにどのように向き合い、生きるべきか。SDGsへの関心が高まる今だからこそ、知りたい。爽やかな余韻の中に深く思いを巡らせるドキュメンタリーに注目だ。


10月22日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開