20世紀初頭のテキサスの壮大な農場を舞台に、人間の弱さともろさを美しい映像で描く『天国の日々』より、テレンス・マリック監督および本作を愛してやまない各界の著名人コメントが到着、燃え盛るアザービジュアルも解禁された。
本作は、第32回カンヌ国際映画祭で監督賞、さらに第51回アカデミー賞🄬では撮影賞を受賞するなど、公開当初から世界中で高く評価され続けている珠玉の名作。日本では、約5年後の1983年に劇場公開された。監督は、『バッドランズ(地獄の逃避行)』(73)で初メガホンをとり、『シン・レッド・ライン』(98)や『ツリー・オブ・ライフ』(11)などで数々の賞を受賞し続けているテレンス・マリック監督。この作品に全てを注いだマリック監督は、次回作の『シン・レッド・ライン』までの20年間、1本も映画を撮らなかったことは、長年にわたり映画界の伝説として語られている。

解禁となったアザービジュアルは、ビルたちが働くテキサスの農場に大量のイナゴが蔓延し追い払おうとしたところ、ふとした弾みで灯が倒れ、麦に引火したことで炎が農場を包み込むシーンを切り取ったもの。この燃え上がる炎は、農場主チャックの“怒り”を表すメタファーとして描かれている。
犬童一心(映画監督)
映画は光でできている。光の可能性を試し探し続け冒険を成し遂げた金字塔的作品。世界の美しさ、残酷さ、儚さが光として見る者に迫る。
スターカメラマン、ヨーロッパ最高のネストール・アルメンドロスをアメリカの偉大なハスケル・ウェクスラーが支えた。二人の共闘に目が離せない。
岩井俊二(映画監督)
最初から最後まで隅々まで愛してやまない映画『天国の日々』。若き日に多大なる影響を受け、今の僕が作られました。
大森さわこ(映画評論家・ジャーナリスト)
ひと針ずつ心を込めて縫い上げたタペストリーのように美しい。83年のミニシアター公開以来、静かに支持されてきた傑作。居場所を求めてさすらう男女と少女の物語で、圧倒的な力を放つ大自然の向こうに、愛と憎しみ、善と悪の姿が浮かび上がる。ワン・アンド・オンリーの異才、テレンス・マリックの繊細な演出は、大画面で見てこそ、すごさが体感できる。
小島秀夫(ゲームクリエイター)
ミレーの様な美しい自然光。モリコーネの甘美な旋律。御伽話を語るかの様な少女のナレーション。移りゆく四季と過酷な労働風景。機関車や蒸気トラクター、旅芸人の飛行機、三輪バイク。すべてが美しい。やがては、物語さえもが美しく燃える。”サブスク“風景に順応してしまった若者たちにこそ、このテレンス・マリックの美しい“動く絵画”を劇場で是非、観て欲しい。
四宮秀俊(撮影)
どこまでも続くようでどこか閉ざされた広大な麦畑を舞台に語られる神話的な物語。
この物語を彩るさまざまな表情を見せる光の景色は、寡黙にして多くを語る登場人物の一人と言っていいのかもしれません。
映画を撮影する身としてこの作品に勇気づけられるのは、光を捉え画面を作り上げる方法の単純さと大胆さ、そしてその結果に豊かさと力強さを見出すからなのかもしれません。映画における光の扱い方をめぐる冒険をぜひスクリーンで体験してみてください!
中川龍太郎(映画監督)
”明日には明日の風が吹く”の精神をこれ以上ないほどに完璧に体現している映画。
人生に対する美しい諦めに、今日も陽光が降りそそぐ。
樋口尚文(映画評論家、映画監督)
80年代、本国公開から5年遅れで公開されたこの映画は時をこえていた。
そして、それからさらに40数年を経て再会した
この作品の、アンチエイジングの映画美には
ただ息をのむばかりである。
平野啓一郎(小説家)
人間の営みと自然。――この素朴な対比が、マリック監督の場合、何故いつも、これほどまでに美しく、見る者の胸を打つのか。彼は人間の愚かさを描く。脆弱さを描く。過ちを描く。孤独を描く。しかし、決して卑小には描かない。嫉妬でさえ、ここでは、愛にも劣らず魅力的だ。
4.4(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開